コインパーキングに自動車が放置


コインパーキングに駐車している車の撤去

借主がコインパーキングに自動車を放置したまま、駐車場利用料金も滞納しています。

これもよくある相談です。

どのように対処したらいいのでしょう。
駐車場契約の法的性質に照らすと、やはりコインパーキング内で持ち主に無断で車を移動することは問題になります。
では放置された自動車を実際に撤去する流れについてご説明いたします


撤去までの流れ

1.持ち主を調べる

コインパーキングの場合、駐車されている自動車の持ち主がだれかわからないのが一般的です。
そこで、ご相談のケースを解決するためには、まずは自動車の持ち主を調べることから始めましょう。 

自動車(軽自動車を除く)の持ち主は、ナンバー・車台番号の下7桁を調べて運輸局に対し、「車の登録事項等証明書」を申請して、「車の所有者」と「車の使用者」の住所・氏名を調査することができます。
このとき、証明書の申請は誰でもできることになっています(道路運送者両法第22条)が、本人確認と申請確認の明示が必要となりますので、気をつけてください。 

軽自動車の場合には、市町村で「軽自動車税課税台帳証明書」を取得すれば所有者の氏名がわかりますが、こちらは税金関係の証明書のため「車の登録事項等証明書」と異なり、本人か代理人でないと申請することができません。

※車台番号はボンネットを開けないと分かりませんが、放置車両である旨の証明を添付すれば車台番号なしでナンバープレートに記載されている番号だけで車の登録事項等証明書を取得することが可能です。

2.契約の解除

自動車の持ち主がわかったら、所有者宛に解除通知を発送しましょう。
この通知は内容証明(配達証明付)で行うのがいいでしょう。 
なお、賃貸借契約や寄託契約を解除するためには、解除の意思表示が相手に届 かなければ法律上の効果が発生しません。相手がいれば郵便物を送って証明できますが相手がいないと解除したということなりません。

そこで、こういうときに は「公示送達」の方法を使います。 
公示送達とは、裁判所が公示を行うことで、相手に対する意思表示が到達したと みなしてくれる法律上の制度です。具体的には、相手の最後の住所地を管轄する簡易裁判所に、相手方の住民票や報告書を添付して、公示送達の申立を行います。報告書には、相手方が不在であるかどうかを調査した結果を記載することになり ますが、例えば電気やガスのメーターが動いているか、郵便物が郵便受けにたま っているか等を書くことになります。 申立てが認められると、裁判所書記官が、裁判所の掲示板に内容証明郵便を貼り出してくれ、掲示をした日から2週間が経過した日に解除の意思表示が相手へ到達したのと同様の法律上の効果が発生します。 

もっとも、最初から訴訟を提起することを決めているのであれば、上記のような 公示送達の方法を行わずに、最初から土地明渡・未払い駐車料金の支払いを求め る訴訟を提起するという方法もあります。
そして、解除の意思表示を訴状の中で 行うこともできます。この訴状が届かない場合には、訴状を公示送達することに なります。 

3.訴訟の提起

 自動車を放置した本人とは連絡がとれなくても、その家族や知人等と連絡がとれた場合でも、これらの人たちに自動車を引き取ってもらうのは後々トラブルにな る可能性が高いので、気をつけた方がいいでしょう。
つまり、家族や知人には法 的には自動車を撤去する義務や権利はないので、形式的には窃盗・器物損壊の対 象となり、損害賠償の問題になってしまうことがあるのです。

そこで、適法に自動車を撤去する場合には、訴訟を提起して、その判決に基づき自動車を撤去する ことが必要となるのです。 

4.強制執行


そして、訴訟を提起した後は、口頭弁論を経て判決を取得し、この判決(債務名 義)に基づき、自動車に強制執行を行うことになります。具体的には、裁判所に 強制執行を申し立て、未払駐車料等の支払い請求権を根拠に自動車の差押(競売 手続)を行い貸主が自分で落札するか、他者に売却されるか、廃棄処分をするこ とになります。 中古車業者に買い取ってもらってもよいでしょう。もっとも、これは,自動車に 一定の価値がある場合のことで、自動車に価値がなく自動車の差押・競売が行えない場合には残置物として、貸主の駐車場の明渡しに伴って処理してしまうこと もあるでしょう。 


5.当事務所に任せるメリット

普段何気なく使っているコインパーキングにこんなに沢山の法律問題があります。

駐車料金を払わないまま自動車を放置されてしまった場合1日も早く自動車を撤去したくなる気持ちはわかります。 
しかしこれをご自分で行ってしまった場合には「自力救済」といって法的に許さない行為となり、逆に罰せられるおそれすらあります。そして、自動車の持ち主の家族や知人に撤去しても らった場合にも、後々トラブルになる可能性があります。

迂遠な方法のように見えても、これまでお話ししてきたような法的手続き にのっとって進めることが、結局は今後の円滑なコインパーキング経営に繋がる といえるのです。

当事務所は上記すべての手続きの支援を行っております。


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